設立趣意
少子高齢社会の抱えるひずみが、国民の安心を支える柱である医療をじわじわと蝕んでいます。医療における技術革新はめざましく、新たに多くの人々の命を救うことを可能にしてきましたが、一方では、医療の安全に対する信頼が大きく揺らいでいます。また、増大する医療費に対応するために効率性が唱えられ、医療の変革が加速しています。資源消費の抑制が求められる中では、非効率的なサービスの提供は容認されません。
日本の医療を支えている人的資源の最大多数を占めるのは看護職です。人々が安心して暮らせる社会が継続していくために、看護が果たす役割はこれまで以上に大きいと思われます。社会の変化、医療技術の進歩、医療の変革の進展に伴い、病院でも地域でも看護職の仕事は変貌しています。新しい職務、新しい責任、新しい組織形態は必然だと言えましょう。常に変化を求められ、様々な判断のサイクルが短縮化されているので、迅速で有用性の高い評価が必要です。イノベーションがキーワードの時代になり、看護における評価研究の必要性が従前に増して高まっています。
また、人々のヘルスリテラシーの向上に伴い、顧客重視のサービス提供が経営上の最重要課題となっています。患者のニーズ、組織のニーズ、社会のニーズに応えるには、いかに働き、いかに効果的で効率的なサービスを提供しているか評価する必要があります。看護の役割が正当に評価されるようになるために、サービスの消費者に見える評価、消費者に納得される評価結果を明確に示すことがますます重要になっています。
そこでこのたび、看護における評価ニーズと評価手法の体系を整える研究、評価技術を洗練する研究、新しい評価手法を開発する研究を推進するとともに、評価の方法論上の議論を深める場をもつことを目的として、この学会を設立することといたしました。実践者と研究者が交流し、強い協力関係が生まれ、確かな評価に寄与する学会になることを願っています。
発起人
菅田 勝也 | 東京大学大学院医学系研究科教授(発起人代表) |
矢野 正子 | 聖マリア学院大学学長 |
橋本 廸生 | 横浜市立大学大学院医学研究科教授 |
佐藤 紀子 | 東京女子医科大学大学院看護学研究科教授 |
市川 幾恵 | 昭和大学病院看護部長・昭和大学統括看護部長 |
宗村 美江子 | 虎の門病院副院長・看護部長 |
飯島 佐知子 | 順天堂大学大学院医療看護学研究科教授 |
小池 智子 | 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科准教授 |
緒方 泰子 | 千葉大学大学院看護学研究科准教授 |